「異性愛者へ12の質問」を転載してみる。


:追記4
緑のカラースター進呈企画終了いたしました!ご回答くださった方々、本当にありがとうございました!今後はそれらを皆で振り返り、何がどう問題なのかを考えてみたいです。もしよろしければご教授ください。


:追記3
http://d.hatena.ne.jp/cmasak/20090420/1240163778
今回のエントリを読んで、「異性愛の特権って何?」と思われた方もいるかもしれません。でしたらぜひ、こちらにリストとして箇条書きされている項目を参考にしてください。


:追記2
macska dot org » 「異性愛者への12の質問」についての女性学MLでの議論
こちらで、今回の質問の危険性に気づかせてもらいました。この質問は個人のセクシュアリティに関わることで、場所と質問者回答者間の権力差が問題になってきます。なので、もし他にご利用なさる場合は、特に教育関係者の方などは、この点にご注意ください。よろしく。

女性学メーリングリストの参加者のあいだでは、調査票をテキストとして学生に読ませ、議論させることについてはまったく異論がなかったけれども、授業の一部として実際に学生に調査票への回答をさせることについては批判が多かった。セクシュアリティのような学生たち自身にとって個人的なことに、講師が当たり前のように踏み込んで回答を求めること自体に問題があるし、そもそも教室の中でこのような調査票を配るということは、学生は全員例外なく異性愛者であり、同性愛者という「他者について」学ぼうとしている、という間違った前提がなければありえない。異性愛者の学生だけでなく、同性愛者の学生にとってもとても居づらい状況になる。

やっぱり、異性愛の権力性を指摘するのは大切だけれど、教室内における講師と学生の権力関係にも気を配らなくちゃいけない

その他とても興味深い指摘、ありがとうございましたmacskaさん。


:追記
はてなハイク サービス終了のお知らせ
ただ今(19日0時47分)、回答してくださった先着8名さまに緑のカラースター進呈中!どうぞ奮ってご参加ください!

ていうか!回答が興味深いーーーーー^^^^^!!!


:以下本文。
=*=*=*=

TBというか転載です。

押して、押して、押し倒されろ! - FC2 BLOG パスワード認証で紹介されていて、ものすごく興味深かったので勝手に転載します*1
…うーん。正直、こういうの大好きです。申し訳ないけども。誰かこういうのやってくれないかなーと思ってたのよ。
これ、裏返せば非異性愛者(LGBや小児性愛者等など)がどれだけアンフェアな問いを繰り返しされ続けたか、っていう背景を指してるんですね。先日の、なんちゃって的な自分のセクシュアリティクィアとしての自身・尊厳が持てない話に通じています。こういう質問投げ続けられると、自ずと確かさを信じられなくなります。
…ううん、それでも異性愛者のように自分の価値観を“絶対”だと思い込みたいわけじゃない。ただ、疑われ続けることの抑圧を押し返したい。そのための試みにもなると思うんです。(問われることの非対称性)
それからもう一つ、大事な試みにもなります。それは、いかにして個々人のセクシュアルアイデンティティーが社会に蔓延する言説によって構築されていくか、という話です。
この質問は、セクシュアリティの社会構築性をも明るみにします。
たとえば、「異性愛は当然生まれたらそうなるはず」という言説があります。この「常識」を疑う事によって、性愛そのものの自明性を問い直さざるを得なくなりますね。
先天性?後天性?はたして断言できる?できないなら、私達はどういう言説を学び取りながら、自分のセクシュアリティを認識し形成してきたのでしょうね…?


そこで、異性愛者の方々にもこの社会がどうしてこんな質問を特定集団ばかりに投げかけているのか、その仕組みを問い直すためにも大真面目に考えてほしい質問なのです。

異性愛者へ12の質問」


1.あなたの異性愛の原因はなんだと思いますか?



2.自分が異性愛なのだと初めて判断したのはいつですか?
 どのようにですか?



3.異性愛は、あなたの発達の一段階ではないですか?



4.異性愛なのは、同性を恐れているからではないですか?



5.一度も同性とセックスをしたことがないなら、なぜ、異性とのセックスの方がよいと決められるのですか?あなたは単に、よい同性愛の経験がないだけなのではないですか?



6.誰かに異性愛者であることを告白したことがありますか?
 その時の相手の反応はどうでしたか?



7.異性愛は、他人にかかわらない限り、不愉快なものではありません。それなのに、なぜ多くの異性愛者は、他人をも異性愛に引き込もうと誘惑しようとするのでしょうか?



8.子供に対する性的犯罪者の多くが異性愛者です。あなたは自分の子供を異性愛者(特に教師)と接触させることを安全だと思いますか?



9.異性愛者はなぜあんなにあからさまで、いつでも彼らの性的志向を見せびらかすのでしょうか?なぜ彼らは普通に生活することができず、公衆の面前でキスしたり、結婚指輪をはめるなどして、異性愛者であることを見せびらかすのでしょうか?



10.男と女というのは肉体的にも精神的にも明らかに異なっているのに、あなたはそのような相手と本当に満足いく関係が結べますか?



11.異性愛の婚姻は、完全な社会のサポートが受けられるにもかかわらず、今日では、一年間に結婚する夫婦の半分がやがて離婚するといわれています。なぜ異性愛の関係というのは、こんなにうまくいかないのでしょうか。



12.このように、異性愛が直面している問題を考えるにつき、あなたは自分の子供に異性愛になってほしいと思いますか?セラピーで彼らを変えるべきだとは思いませんか?



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さて、どうでしたか?

もしも、これを読んでいるあなたが異性愛者だったら・・・質問に対してどう思いましたか?なにあたりまえのこと聞いてるんだって感じですか。けれど、もし世の中の9割が同性愛者だとしたら、上の質問に対してどう答えますか。ちょっと変わってくるのではないでしょうか。

ピンとくる質問があったと思いますが、これらは同性愛者に対するよく聞かれる質問を異性愛者向けにパロディ化したものです。Kevin Jennings『becoming visible』というゲイ/レズビアンの歴史のリーダー(その分野で重要な文献や教科書などを要約したりしていくつも紹介した本)に載ってました。

なんで同性が好きだったの?いつ頃から?私は自分でも自分に対してこれらの質問を常に向けつづけ、それに対する答えを探しつづけてきました。他のゲイ/レズビアンの友人と話す時も、どのように自分のセクシュアリティに気づいたかや、本質論の可否など、セクシュアリティに関することを話し合う事が多いです。

しかし、気づけば、ゲイ/レズビアン、その他の少数派といわれる人々ばかりが、セクシュアリティについて考え、自らのことを説明することを余儀なくされています。異性愛者は多数派であるということによって自らのセクシュアリティについては、全く考えていないのが現状ではないでしょうか。

「いつから同性愛だったの?」と問う「異性愛者」は、まず自分自身に「いつから異性愛だったんだろう?」と問い直してみることが必要ではないでしょうか。そのことによって、同性愛者へ向けられる質問の幾つかは問われなくなると思います。

しかし、上の質問は、異性愛者にとって虚をつかれたものであるのと同程度に、私にとってもショッキングなものでした。頭の中の初めての場所を掻かれている気分でした。異性愛の絶対性は私の中にも内面化されていたのです。そして、その絶対性を基礎に同性愛というアイデンティティを築き、自分を説明していました。

この質問は、確かに異性愛者に対する質問であると同時に、(彼らが同性愛者に対してなげかけた質問への)答えであり、同時に異性愛の絶対性を信じていた全ての人に、それを疑わせてくれるものではないでしょうか。 (2001.3.5)

*1:ご本人は「人があるロジックを使って誰かを追いつめる場合に、それが自分に向けられた場合の一瞬の空白感というか、エピファニーの例として、上の質問群を思い出した。」として紹介なさっている