性暴力を描いているという自覚は果たしてあるか。

先日読んだBLの中に、ある手段で偽計により拉致されてレイプされる人の話があったのです。(この話の場合性的自由を侵害されたのは男性なので、強姦罪にはあたらないが・・・)
そして、その作品のあとがきに作者さんが「この拉致の方法は自分の家族の友人がよく使っていた方法だった。しかし考えてみればこれは犯罪だ」と明かしています。本当にそれだけの文章なので、その(家族の)「友人」がとった実際の行為を参考にして話を書いたのかどうかはわかりません。
ところで、この「拉致」という言葉ですが。「拉致」は日常会話の言葉であり、刑法の文において「拉致」という言葉はありません。このお話の場合の「拉致」に該当するのは猥褻目的の「誘拐」になります。(営利目的等略取及び誘拐罪(刑法第225条)。)ちなみに暴行脅迫が手段の場合「略取」。
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はたしてこのお話に出てくるキャラクタの行った(偽計による)誘拐と、作者さんが知る人の行為がどこまで同じものかはわかりません。ですが、このような犯罪と思しき内容(現実の話)と話の内容との関連性を暴露して、はたして問題はないのか・・・。
まあ、幇助したというわけでもないだろうし、そこは問題ではない。でも、もしかしたら強姦罪があったかもしれない実話を著書の中で明かすのは、どうなんだ。被害者(少なくとも誘拐はされている)の人権の面は大丈夫なんだろうか?さすがにあとがきの話だけでは被害者が誰かなんかわからない。だから問題ないのだろうか?

ていうか、職業倫理的に問題ありだろう。うーん。これは何かアクションを取るべき事柄なんだろうか・・・?

*1:あと、猥褻目的の略取誘拐罪は親告罪の一例にもなるらしいので、告訴しなければ公訴できないのですが、まあそれは別の話として。