制服という校則について補足、私以外のジェンダーに対する選択自由の保障。

不当なルールを守る義理はないので「ルールなんだから当然」は全然当然じゃないだろう、当然。 - 腐男子じゃないけど、ゲイじゃない
先日のエントリにこんなレスポンスを頂きました。ちょっと長くなったのでこちらでお返事。

うーん、私は制服はなくさなくてもいい(用意はしてくれると助かる。毎日私服を選べるファッションセンスもマネーも不足していた学生時代…)から、スカートとパンツの制服があるけど、どっちが男子用でどっちが女子用でという呼び名を撤廃して、どっちがどっちしか着ちゃいけないんじゃなくて、好きな方を選んでOK、ということにして欲しい…
中学の時はほぼ毎日ジャージ登校が許されてて楽だったなあ・・・

http://h.hatena.ne.jp/search-light/9234085767370001341

うん、そうですよね。勝手に用意しといてくれてあとはご自由にってスタイルのが、まだ理想的だと思います。それに制服憧れてる人もいるし、夢が保たれるのは私も嬉しい(しょせん私も並森中のブレザーカワユス派だし)。

まあそれでも、「お前は着るのか着ないのか、着ないならなぜ着ないのか」みたいな相互監視は生まれるでしょうけど、それこそ自治レベルで上手く制度が機能すればいいなと思います。

そう、結局学校のグラウンドと同じなんですよね。昼休みグラウンドで縄跳びしてもいいけど、別に昼休み縄跳びするのは義務じゃないよーっていう。着たい人は着ればいいけどーってのと同じで。その上で、なのですが。
 

スカートとパンツの制服があるけど、どっちが男子用でどっちが女子用でという呼び名を撤廃して、どっちがどっちしか着ちゃいけないんじゃなくて、好きな方を選んでOK

 
なるほど、そもそもセーラー服なんかも女性のものではない、と。それはこのジェンダー社会において必要な視点であります。ただね。たとえ校則として「〜は、男女どちらかの性別用だ!」って感じに呼び名を縛らなくても、どうしたって「ズボンは男のもの、スカートは女のもの」という観念は付いて回ります。この社会の現状として、解決策の見出しづらい難題ですね。それは学校だけでどうにかなる話じゃない。しかしながら、学校側にも追うべき負担はある。(後述)

さて。先日のエントリでは、私みたいな男女どちらでもない人視点を中心にしたせいで、「男としてセーラー着たい!女として学ラン着たい!」っていう異性装や、「女(or男)に見られるかもしれないけど本当は男(or女)だから、男(or女)の格好がしたい!」っていうトランジションについてあまり書けてませんでした。*1

が、性別別制服を一切導入しない限りは、つまり学校としてもジェンダー制度を自主的に導入する限りは、学校側に、異性装や 与えられてる性別とは異なる(けれど自分の性自認的にはマッチしてる)性別服装を、自由に選択できる安全を整備する責任が生まれてくると思います。実際にジェンダー付与されている制服を用意しといて、「あとは個人の自由なんだから何の責任もない」ってのは筋が通りませんからね。
 

確かに、着る着ないが自由である以上、私のような存在は“着ないことで”(一部的に)ジェンダー差別から逃れられます。が、男女いづれかの性自認がある者には依然として「着たいものが着れない」って不公平が残る。それはMTFFTM、あるいは(人によってはシスジェンダーかもしれないけど)異性装者に対する差別ですね。*2

ですから、公平な選択自由の保障が出来ないと言うなら、基本的に制服は導入しないのが無難でしょう。なぜなら、整備せず「シスジェンダーの同性装」だけに選択自由を保障しているのなら、それ自体が差別の助長ですからね。学校側が意図するとせざるとを関わらず。ちょっとソレは賛同しがたいですよね。
 

・・・うーん。そうですねぇ。「学校側だけじゃ異性装やTG・TSの性自認にマッチした服装などが保障しづらい」と言う状況で制服を作るなら、いっそジェンダーレス・ユニセックス制服の導入も考えてみる価値はあるかも。
ですからある意味、ジャージもその選択のひとつですね。
私も私服は極端に少ないので制服的なものがあったら便利だとは思いますw

学校も社会の一部ですから、そういう制度的問題の解決に尽力してくれると良いんですけどねー。少なくとも、自分たちが関わる分だけ、そういう責任はあるかと。

*1:と言うか、誰にだって「たまには男or女になりたい、色んなジェンダーになりたい」みたいなことを思うことはありえる訳だ。

*2:そして、他にいくらでも多様なジェンダーの在り方があることを忘れてはいけない。それぞれに望ましいジェンダー表現(服装)があるので、各自意見を聞いて公平に保障すべき。